Claude CodeでAI社員を作った実録|HPを18分で公開、でも9日間無断欠勤

AI社員の座席表。稼働中の席と空席が並ぶイメージ

結論:AI社員は雇えます。ただし新人です

弊社にはAI社員がいます。
名前は「MY-AI社員」。Discord(LINEのような無料のチャットアプリ)に待機していて、スマートフォンから話しかけると仕事をします。

実在の従業員ではありません。Claude Codeを社内のチャットにつないだものです。
それでも、やっていることは新人スタッフとほとんど変わりません。

この記事で書くこと

実際に組んで運用した結果として、何ができて、何ができなかったかを書きます。
18分でホームページを1本仕上げた話も、設置して以来一度も動いていなかったという情けない話も、両方書きます。

先に結論だけ言うと、AI社員は「優秀だが放っておくと勝手に休む新人」です。
仕事はできます。ただし雇っただけでは回りません。

何を作ったのか

仕組み自体は単純です。

  1. Discordに専用のボットを置く
  2. そのボットにメンション(相手を名指しして呼びかける機能)で話しかける
  3. 社内のMacでClaude Codeが起動して作業する
  4. 結果がDiscordに返ってくる

Discordを使ったのは、スマートフォンから話しかけられるからです。
外出先や移動中に「あの件やっておいて」と投げられます。パソコンの前に座る必要がありません。

会話はチャンネルごとに継続します。
前の発言を覚えているので、「さっきの件だけど」で通じます。AIが質問してきたらこちらが答え、そこから作業が再開します。

作業できる範囲

最初は隔離した専用フォルダの中だけで動かしていました。
現在は会社のフォルダ全体を作業場所にしています。社内ルールも、蓄積した制作の定石も、過去の案件も全部読める状態です。

そのぶん危ないので、制限をかけています。

  • 乱暴な操作は設定で禁止(ファイルの一括削除など)
  • 話しかけられる人を限定(最初に話しかけた本人だけに反応する)
  • 時間が来たら強制終了(60分)

細かい権限の話は後の章で書きます。
1つだけ先に言うと、接続に使う鍵はコードの中に直接書きません。パソコンの安全な保管場所に入れています。ここを守らないと、うっかり共有した瞬間に他人が同じボットを動かせてしまいます。

OpenClawとClaude Codeの違い|両方使って移行した結論

この形に落ち着く前は、OpenClawを使っていました。
AIにパソコンの作業を任せるための仕組みで、当時はこちらのほうが手っ取り早く形にできました。

現在はClaude Codeに切り替えています。
理由は単純で、やりたかったことがClaude Codeでほぼ再現できるようになったからです。

判断軸OpenClawと併用していた頃Claude Codeに寄せた後
育てる道具の数2つを並行して育てる1つで制作も経理も回す
社内ルールそれぞれに覚えさせ直す同じルールファイルを全用途で読ませる
権限・禁止設定二重管理1つの設定に集約

つまり弊社にとっての違いは、性能ではなく管理コストでした。
やりたいことが両方でできるなら、比較すべきは機能の一覧ではなく「2つ育て続けられるか」です。

AIボットも、社内の仕組みも、まとめて移しました。
複数の道具を並行して育てるより、1つに寄せたほうが結果的に速いというのが実感です。それぞれに社内ルールを覚えさせ直す手間が消えます。

どちらが優れているという話ではありません。
やりたいことが片方で全部できるなら、道具は減らしたほうがよいという判断です。

最初に任せた仕事と、その結果

最初にやらせたのは、架空のカフェを想定したデモ用ホームページの制作です。
営業でお見せするためのサンプルサイトで、実在の店舗ではありません。

指示はチャットで投げただけです。
そこから先は自分で進みました。

工程やったこと
リサーチ業種の傾向を調べ、構成を決める
制作HTMLとCSSを書く
画像掲載する画像を生成する
検証表示崩れがないか確認する
公開サーバーにアップロードする

ここまでを18分で終えました。
人がやれば数時間はかかります。

念のため書いておくと、これはデモサイト1本の話です。
お客様に納品する本番のサイトは、ヒアリングも打ち合わせも修正も入るので、この時間では終わりません。それでも、たたき台がその日のうちに出てくる意味は大きいです。

できなかったこと3つ

実際に運用してみて、はっきりできないと分かったことが3つあります。

1. 走り出したら止められない

ターミナルで動かしているときは、途中で気が変わればキーひとつで止められます。
チャット越しだとそれができません。投げた指示が終わるまで待つしかない。

これは思ったより効きます。
「あ、そっちじゃない」と気づいても、最後まで走り切るのを見ているしかありません。

2. 終わっても呼びに来ない

「後で報告します」と返して黙り込むことがありました。
仕組み上、1回の応答で処理が終わるため、その先の続報が永久に来ません

これは指示の出し方で解決しました。
起動時に「後で報告しますで終わるな。その場で完了させろ」という指示を毎回自動で追加するようにしています。

3. 画面を目で見て確認できない

ここが一番大きい制約です。
コードが正しく書けていることと、実際の画面がきれいに見えることは別物です。文字が重なっていないか、スマートフォンで崩れていないか。ここは人が見ないと分かりません

つまずいた3件

最初のデモ制作で、実際に踏んだ落とし穴です。
1件目は仕組み側の制約ですが、残る2件は社内固有の事情でした。いずれもAIの能力とは関係ありません。

何が起きたか原因対策
「完了したら報告します」で沈黙1往復で処理が終わる仕組み起動時の指示で禁止した
0バイトのファイルが大量にアップされた使っていたサーバーで、特定の転送方法が失敗する既知の不具合別の方法に統一した
直しても古いままの表示が消えない0バイトのファイルがキャッシュに残ったファイル名にバージョンを付けて回避

2番目が厄介でした。
アップロード自体は成功したように見えるのに、中身が空のファイルが並んでいる。エラーも出ません。

ここから分かるのは、AI社員がつまずくのは技術の難易度ではなく、その会社固有の事情であることが多いということです。
どのサーバーに癖があるか、どの手順を踏むと事故るか。こういう知識は社内にしかありません。

つまり会社のルールを書いて渡しておくほど、AI社員は使えるようになります。今回の3件も、対策を社内ルールに書き足したので二度と踏みません。

AI社員が働ける会社にする

前の章で「つまずくのは会社固有の事情」と書きました。
裏を返すと、会社の側を整えるほどAI社員は働けるようになります

弊社がやったのは、会社のフォルダを部署ごとに分けることでした。

フォルダ入っているもの
経理・人事・法務請求書、契約書、税務の手続き
営業見込み客リスト、提案資料、営業トーク
制作テンプレート、コーディング規約、制作中のデータ
案件管理お客様ごとのヒアリング内容と納品物
ナレッジ判断基準。迷ったらここを見る

そしてそれぞれのフォルダに、その部署のルールを書いたファイルを置いています。
経理なら勘定科目の決め方、制作ならコーディングの決まりごと、営業なら料金の正データがどこにあるか。

こうしておくと、AI社員は今どの部署の仕事をしているかで、参照するルールを切り替えます
「請求書を作って」と言われれば経理のルールを、「サイトを直して」と言われれば制作のルールを読みます。毎回こちらが説明する必要がありません。

これは人間の新人にも効きます

書いてあるルールは、人が読んでも役に立ちます。
AI社員のために整えた結果、人の引き継ぎも楽になりました。どこに何があるか、迷ったら何を見るかが決まっているためです。

逆に言えば、置き場所が決まっていない会社では、AI社員は力を発揮できません
どこに正しい情報があるか分からなければ、人もAIも同じように迷います。導入の前に、まず置き場所を決めてください。

業種が違っても、任せる中身は同じです

弊社はホームページ制作の会社なので、この記事の例はサイト制作に寄っています。
ただしAI社員に任せているのは、要するに調べる・書く・送るの3つです。見積書でも、報告書でも、案内文でも、事務仕事の型は変わりません。
自社に置き換えるときは「うちの調べる・書く・送るは何か」から考えてみてください。

一度も出勤していなかった話

ここからが情けない話です。

毎朝8時に、その日のタスクと予定をまとめてチャットに投げる「朝刊」という仕組みを作りました。
社内の日報のようなものです。決まった時刻に自動で動くよう設定して、そのまま運用に入りました。

9日後に確認したところ、一度も成功していませんでした

9回連続で失敗。成功は0回

エラーの通知は来ませんでした。
パソコンの権限設定が原因で、自動実行の仕組みが会社フォルダを読めない状態だったのです。読めないので何もせず、静かに終了していました。

気づいたきっかけは、成果物が増えていないことを不審に思ったからです。
毎朝届くはずのものが届いていない。当たり前ですが、届かないことには気づきにくいのです。

AI社員を雇うときに一番怖いのは、暴走ではありません。
雇ったつもりで、実は一度も出勤していない状態です。給料は払っていませんが、任せたつもりでいた9日間が丸ごと無駄になりました。

なおこの失敗は、後の章で書く「AI社員を見えるようにした」仕組みで潰しました。

組んだら翌日に必ず確認する

自動化は、動いても止まっても静かです。
組んだ翌日に、実際に動いた記録を自分の目で見てください。動いたらログを残す、チャットに通知を飛ばす。これをセットにしないと、動いているつもりの状態が延々と続きます。

AI社員に何を見せるか

社員を雇えば、見せてよい情報と、そうでない情報が出てきます。AI社員も同じです。

弊社では、用途ごとに見える範囲を変えています

役割見える範囲理由
代表専用のAI社員会社フォルダ全体制作も経理も任せるため。ただし本人しか話しかけられない
共有のアシスタント共有フォルダと共有ツールだけ複数人が使うため。財務や未公開の情報には届かない設計にしている

共有側は、社内フォルダの読み取りを設定で明示的に拒否しています。
「見ないでね」とお願いするのではなく、そもそも見えない状態にするのが大事です。指示で制御しようとすると、いつか事故ります。

もうひとつ、チャット経由ならではの注意があります。

顧客の個人情報や、財務の生データをチャットに貼らない

まず前提として、Claude Code はパソコンで直接使う場合でも、読み込んだファイルの中身をAIのサーバーに送っています。ここは誤解されがちです。
チャット経由にすると、それに加えてチャットサービスのサーバーも経由します。経路が1つ増えるということです。
どちらにしても、AI社員に渡すからといって何でも貼ってよいわけではありません。

会社経営のどこまで任せるか:8割を任せて、2割で仕上げる

運用してみて落ち着いた形がこれです。

担当やること割合
AI社員(チャット)調べる、作る、書く、アップするおよそ8割
人+パソコン画面を目で見る、細部を直す、公開の判断をするおよそ2割

チャットで作らせて、パソコンの前で検品して仕上げる。
この分担にしてから、手戻りが減りました。

逆に言えば、残りの2割を省こうとすると失敗します
先ほど書いたとおり、画面を目で見る工程はAIに代わりがききません。ここを飛ばすと、崩れたサイトがそのまま公開されます。

AI社員を「見える」ようにした

もうひとつ作ったものがあります。
AI社員を視覚化する画面です。

オフィスの見取り図のような画面に机が並んでいて、そこにAI社員が座っています。
AI社員が動いているかどうかが、ひと目で分かるようにしたものです。

遊びのように聞こえるかもしれませんが、実用的な理由があります。
前の章に書いたとおり、AI社員は黙って止まります。ログを開いて確認するのは面倒で、結局やらなくなります。

画面を開いたときに机が空いていればすぐ分かる。それだけのことですが、9日間気づかなかった失敗を繰り返さないための仕掛けです。

もうひとつ、複数のAI社員を扱うようになると頭の中で管理しきれなくなります
誰に何を頼んだか、どれが終わってどれが動いているか。人数が増えたときに座席表が要るのは、人間の会社と同じでした。

費用と、割に合うかどうか

追加の費用はかかっていません。
すでに契約しているClaude Codeの枠を使っているだけで、この仕組みのために別途課金は発生していません。
※ 使い方によっては契約枠を超えて追加料金がかかる場合があります。長時間まとめて走らせるなら確認してください。

かかったのは作る手間です。
動くところまでは一日かからずに到達しましたが、そこから安定させるまでに、この記事に書いたようなつまずきを一通り踏んでいます。

割に合うかどうかは、スマートフォンから指示を出したい場面がどれくらいあるかで決まります。
一日中パソコンの前にいる人なら、直接使ったほうが速い場面も多いはずです。

逆に、外に出ていることが多い経営者には効きます。
移動中に思いついたことを投げておいて、戻ってきたら形になっている。この差は大きいです。

これから始めるなら、この順番で

いきなりチャット連携から作らないでください。
先に整えるものがあります。順番を間違えると、動いても使えないものができます。

やることこれが無いとどうなるか
1フォルダを部署ごとに分けるどこに何があるか分からず、毎回説明することになる
2各フォルダにルールを書く会社のやり方を無視した成果物が出てくる
3禁止コマンドを設定する取り返しのつかない操作が通ってしまう
4パソコンの前で使ってみるAIの癖が分からないまま自動化することになる
5チャットにつなぐ
6翌日、動いた記録を確認する動いていないことに気づかない

1から3まではAIを使わなくてもできる準備です。
そして、ここが一番効きます。実際、弊社でAI社員がつまずいたのも、会社側の準備で防げたものが大半でした。

4番目を飛ばす人が多いのですが、飛ばさないでください。
どんな指示をするとどう解釈されるのか。それが分からないままチャット越しにすると、途中で止められないぶん被害が大きくなります

よくある質問

プログラミングができないと作れませんか

ある程度は必要です。
ただし作る作業そのものは、Claude Codeに手伝わせることができます。弊社の仕組みも、大部分はAIに書かせました。
それに、この記事の手順1〜3(フォルダを分ける・ルールを書く・禁止コマンドを決める)はプログラミングなしでできます。そこまでご自身で進めて、残りを弊社のような会社に任せる形でも構いません。

パソコンを閉じていても動きますか

動きません。
社内のパソコンでClaude Codeが動く仕組みなので、パソコンがスリープしていると止まります。常時動かしたいなら、スリープしない設定にするか、常駐する形に作り替える必要があります。

チームで使えますか

使えますが、設計を変える必要があります。
弊社の代表専用のものは最初に話しかけた人にしか反応しません。複数人で使うなら、誰に何を見せるかを先に決めてください。全員が同じものを触れる状態にすると、見せたくない情報まで届きます。

暴走が怖いのですが

実際に運用した範囲では、暴走より動いていないことのほうが問題でした。
そのうえで、危険なコマンドは拒否リストで禁止し、話しかけられる人を限定し、時間制限を入れています。止める仕組みを先に作ってから動かしてください。

OpenClawとClaude Code、どちらを選べばよいですか

やりたいことが両方でできるなら、すでに使っているほうに寄せてください
弊社が切り替えたのは性能の比較ではなく、道具を1つに減らしたかったからです。2つ育てると、社内ルールも権限設定も二重管理になります。

ホームページを18分で作れるなら、制作会社は要らなくなりませんか

デモサイトのたたき台なら、確かに速く出ます。
ただし実際の仕事は、何を載せるか決める打ち合わせ、写真の手配、原稿の確認、公開後の運用が大半です。手を動かす部分が速くなっただけで、決める部分は速くなっていません。

社員に使わせても大丈夫ですか

見える範囲を分けてからにしてください。
弊社では、代表専用のものは会社フォルダ全体を見られますが、共有で使うものは共有フォルダしか見えない設定にしています。「見ないでね」ではなく、設定で見えなくするのが大事です。

どのくらいで作れますか

動くところまでなら一日かかりません。
ただし安定させるまでには、この記事に書いたようなつまずきを一通り踏みます。作る時間より、詰まったところを直す時間のほうが長いと考えておいてください。

この記事の情報は2026年9月1日時点のものです

AIの道具はどれも動きが速く、できること・できないことは短期間で変わります。
仕組みの詳細より、会社側をどう整えるかのほうが長く使える話だと考えて書いています。

まとめ

  • Claude Codeをチャットにつなげば、スマートフォンから指示できるAI社員になる
  • デモ用ホームページ1本を、リサーチから公開まで18分で仕上げた
  • できないことは3つ。途中で止められない/終わっても呼びに来ない/画面を目で見られない
  • つまずくのは技術の難しさではなく会社側の準備不足であることが多い。ルールを書いて渡すほど使えるようになる
  • 一番怖いのは暴走ではなく雇ったつもりで出勤していないこと。9日間気づかなかった
  • 見せる範囲は用途ごとに分ける。お願いではなく設定で見えなくする
  • 8割を任せて、2割は人が仕上げる。この2割を省くと失敗する
  • 会社のフォルダを部署ごとに分け、それぞれにルールを置く。整えるほどAI社員は働ける
  • 止まっていることに気づくため、AI社員の様子が見える画面を作った

AI社員という言葉は少し大げさですが、実感としてはそのとおりです。
新人が入ってきたときと同じで、何を任せて、何を見せて、どこを確認するかを決めるのは雇う側の仕事です。

そして決め方は、この記事に書いた順番のとおりです。
フォルダを分けて、ルールを書いて、禁止する操作を決める。ここまではAIを使わずにできますし、ここさえできていれば残りは後からどうにでもなります。難しく考えずに、置き場所を決めるところから始めてみてください。

AI導入支援|「AI社員が働ける会社」の土台から設計します

この記事のとおり、AIがつまずくのは技術ではなく会社側の準備です。
フォルダの分け方、ルールの書き方、見せてよい情報の線引き。手順の1から3は御社だけでも進められますが、この記事の失敗を全部先に踏んである会社に最初から設計させたほうが速いのも事実です。仕組みは御社のものとして残します。

AI導入支援の詳細はこちら

無料で相談する