ホームページを作ったあと、請求書を前にして手が止まる方は多いようです。
広告宣伝費でいいのか、それとも資産に計上して何年かに分けるのか。調べるほど「場合による」という説明ばかり出てきて、結局どっちなのかが分からない。
こんにちは、三重県でホームページ制作をしているMYコンサルティングです。
当社は作る側であると同時に、自社も法人としてfreeeで記帳している側でもあります。この記事は、その両方の立場から書きました。判定に必要なことは、実はそれほど多くありません。
先に結論
・お店や会社の紹介が目的のサイトなら、広告宣伝費で全額その年の経費にできるのが原則
・ネットショップや予約システムなど「機能」が入ると、その部分はソフトウェアとして5年で償却
・2026年4月から、40万円未満なら全額経費にできる特例が使えるようになりました(それまでは30万円未満)
・仕訳の基本は(借方)広告宣伝費/(貸方)普通預金。着手金・分割・月額などの場合は、下の表にまとめました
ホームページ作成費の仕訳例(ケース別)
よくある支払い方ごとに、仕訳をまとめました。金額は税込経理の例です。
どのケースに当てはまるかの判定は、この下の「判定は3パターンしかない」で説明しています。
| ケース | 仕訳 | ポイント |
|---|---|---|
| 会社・お店の紹介サイトを一括で支払った | (借方)広告宣伝費 330,000/(貸方)普通預金 330,000 | いちばん多い形です |
| 着手金を先に払った | 支払時:(借方)前払金 110,000/(貸方)普通預金 110,000 納品時(残金をその場で払う例):(借方)広告宣伝費 330,000/(貸方)前払金 110,000・普通預金 220,000 | 費用にするのは、納品を受けた時点です。残金があとで払いなら、220,000円は未払金にします |
| 決算をまたいで納品された | 期末:着手金は前払金のまま 納品した期:広告宣伝費に振り替える | 広告宣伝費にあたる制作費なら、払った期ではなく、完成して納品された期の費用になるのが原則です |
| 総額を分割で払う | 納品時:(借方)広告宣伝費 330,000/(貸方)未払金 330,000 毎回の支払時:(借方)未払金/(貸方)普通預金 | 総額が決まっている分割は、支払いのたびに費用にするのではありません |
| 月額制のサービス | 毎月:(借方)広告宣伝費 5,500/(貸方)普通預金 5,500 | 毎月のサービスの対価なので、サービスを受けた月の費用です |
| 予約・EC機能で資産になるが、40万円未満 | 取得時:(借方)ソフトウェア 390,000/(貸方)普通預金 390,000 使い始めた期の決算:(借方)減価償却費 390,000/(貸方)ソフトウェア 390,000 | 特例の対象になる中小企業者等なら、使い始めた期に全額を費用にできます。法人は申告書に明細(別表十六(七))の添付が必要です |
| 補助金が出る | 金額が確定したとき:(借方)未収入金/(貸方)雑収入 入金時:(借方)普通預金/(貸方)未収入金 | 入金日ではなく、交付の条件に応じて受け取る権利と金額が確定した期の収入です |
分割払いと月額制は、似ていても扱いが違います。くわしくは下の「月額制・分割払いの場合」で説明しています。
インボイス登録のない制作会社に払う場合は、消費税の部分の仕訳が変わります。「インボイス登録のない制作会社に払う場合」をご覧ください。
判定は3パターンしかない
ホームページ制作費の勘定科目は、突き詰めると次の3つのどれかに落ち着きます。
請求書や領収書そのものを作る必要がある場合は、請求書・見積書・領収書メーカーが使えます。消費税や源泉徴収の計算はこちらのツールで確認できます。
判定の軸になるのは「機能があるか」と「更新するか」の2つだけです。
そして意外に思われるかもしれませんが、金額の大小はこの判定には関係ありません。100万円のサイトでも、会社紹介が目的なら広告宣伝費で全額経費になり得ます。
金額が効いてくるのは、資産計上と判定された「あと」の話です。ここを混ぜて説明している解説が多いので、順番に見ていきます。
パターン① 広告宣伝費(大半はこれ)
会社案内、店舗紹介、メニュー、アクセス、お問い合わせフォーム。
こうした「デジタルの会社案内」にあたるサイトであれば、完成・納品を受けた年度に広告宣伝費として全額を経費にできます。中小企業のホームページは、ほとんどがこのパターンです。
理由は、内容が定期的に更新されていくため、その支出の効果が1年以上には及ばないと考えられるからです。
「国税庁が定めている」という説明について
この考え方は、かつて国税庁のサイトに掲載されていたQ&Aで示されていたものです。
ただしそのQ&Aは現在、国税庁のサイトからは削除されています。現在も同じ考え方がとられているのかを、公的な資料で確かめることはできないため、「国税庁が明文で定めている」と言い切れる状態ではありません。
実務上は広く踏襲されている考え方だと理解しておくのが正確です。
仕訳例|制作費300,000円(税別)を普通預金から支払った場合(税込経理)
(借方)広告宣伝費 330,000 / (貸方)普通預金 330,000
税抜経理であれば、広告宣伝費300,000円と仮払消費税30,000円に分けて記帳します。
パターン② ソフトウェア(無形固定資産)
次のような「プログラムとして動く機能」が組み込まれる場合、その部分はソフトウェアとみなされ、資産に計上したうえで減価償却していきます。
資産計上になりやすい機能
・ネットショップ(カート・決済機能)
・予約システム
・会員登録/ログイン機能
・物件検索や在庫検索などのデータベース連動
・顧客管理システムとの連携
ソフトウェアとして資産計上する部分の耐用年数は5年です。自社で利用するソフトウェアの法定耐用年数で、国税庁のタックスアンサーでも、複写して販売する原本や研究開発用のもの以外は5年と示されています。
仕訳例|60万円のECサイトを構築した場合(定額法・5年、12か月の事業年度の期首から使った例)
取得時:(借方)ソフトウェア 600,000 / (貸方)普通預金 600,000
決算時:(借方)減価償却費 120,000 / (貸方)ソフトウェア 120,000
期の途中から使い始めた場合は、使った月数に応じて計算します。
取得価額に何を含めるかも決まっています。
導入にあたって必要な設定作業の費用や、自社の仕様に合わせるための修正費用は含めます。一方で、製作原価のおおむね3%以内におさまる少額な付随費用は含めなくてもよいとされています。
パターン③ 繰延資産・長期前払費用
作ったきり1年以上まったく更新しないサイトは、効果が1年を超えて及ぶとみなされ、繰延資産(長期前払費用)として使用期間で按分する扱いになることがあります。
ただ実務では、このパターンに当てはまるサイトはそう多くありません。ただし更新の回数だけで決まるものではなく、何を作ったのか、効果がどれくらい続くのか、ソフトウェアにあたる部分があるかを合わせて判断します。
集客の面で見ても、作ったまま放置するサイトに良いことはありません。
金額で決まる部分【2026年4月改正】
ここからは、パターン②で資産計上すると判定されたあとの話です。
金額によっては、5年待たずに一気に経費へ落とせます。ここに2026年の改正が効いてきます。
2026年4月1日から、上限が30万円未満→40万円未満に
青色申告をしている中小企業者等が使える「少額減価償却資産の特例」が拡充されました。対象になるかは、資本金や大きな会社の子会社でないかなどの条件でも決まります。
・対象金額:30万円未満 → 40万円未満(2026年4月1日以後に取得したもの)
・従業員数の要件:500人以下 → 400人以下
・年間の合計限度額:300万円(変更なし。事業年度が1年未満なら月数で按分)
・適用期限:2029年3月31日まで延長
※ 国税庁のタックスアンサー(No.5408)には、改正前の「30万円未満」の記載が残っている場合があります。数字が食い違って見えたときは、その資産をいつ取得したかで判断してください。
つまり2026年4月以降であれば、39万円の予約システムを入れても、使い始めた年に全額を経費にできます(特例の対象となる事業者で、決算で全額を費用に計上し、申告の手続きをする場合)。
3月までに導入していたら30万円の壁に引っかかって5年償却だったので、タイミングによる差は小さくありません。
なお10万円未満であれば、この特例を使うまでもなく全額が経費になります。20万円未満なら3年で均等に償却する一括償却資産という選択肢もあります。なお、ソフトウェアはどの方法でも償却資産税(固定資産税)の対象外です。
⚠ 税込か税抜かで結論が変わります
この金額判定は、自社が採用している経理方式の金額で行います。税抜経理なら税抜金額、税込経理なら税込金額です。
たとえば税抜39万円のシステム。税抜経理なら40万円未満におさまりますが、税込経理だと429,000円となり特例の対象から外れます。
免税事業者は税抜経理を採用できないため、税込での判定になります。
もう一つ注意したいのが、インボイス登録のない制作会社から買う場合です。差し引けない消費税の部分は取得価額に入るので、税抜経理でも税抜39万円(税込429,000円)なら取得価額は401,700円となり、40万円を超えます(2026年10月以降の70%控除で計算)。金額が境目に近いときは、発注先の登録の有無も確かめてください。
月額制・分割払いの場合
最近は「初期費用0円・月額◯円」というホームページのサービスが増えました。ただし、この中には本当の月額利用料と、制作費を分割で払っているものが混ざっています。当社の初期費用0円プランは、制作費の分割払いと、月々の保守料の組み合わせです。
本当の月額利用料であれば、資産計上という話はそもそも出てきません。サービスを受けた月の費用として処理します。
科目は広告宣伝費、支払手数料、通信費のいずれでも誤りではありません。当社は自社の記帳では広告宣伝費に寄せています。
「月額制」と「分割払い」は扱いが違います
紛らわしいのですが、この2つは別物です。
月額利用料は、毎月サービスを受ける対価なので、毎月費用になります。
分割払いは、制作費の総額が先に確定していて支払いを分けているだけなので、資産計上や一括経費の判定は総額で行います。
契約書のどちらに当たるかを確認してください。ここを読み違えると、決算のときに金額が合わなくなります。
インボイス登録のない制作会社に払う場合【2026年10月から】
個人のデザイナーや小さな制作会社には、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしていないところもあります。
その場合、支払った消費税の全額を、自社の消費税の計算から差し引くことはできません。
いまは経過措置として、一定の割合だけ差し引けます。この割合が2026年10月1日から変わります。
| 課税仕入れを行った日(原則は納品・サービスを受けた日) | 差し引ける割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30% |
もともとは2026年10月から50%に下がる予定でしたが、令和8年度の税制改正で、下がり方がゆるやかになりました。
仕訳例|インボイス登録のない制作会社から、会社紹介サイト330,000円(うち消費税相当30,000円)の納品を受けた場合(一般課税・税抜経理・2026年10月以降の納品)
(借方)広告宣伝費 309,000 / 仮払消費税 21,000 (貸方)普通預金 330,000
消費税相当30,000円のうち70%の21,000円だけを仮払消費税にし、残りの9,000円は広告宣伝費に含めます。
割合は、原則として支払った日ではなく納品を受けた日で決まります。9月に着手金を払っていても、10月に納品を受ければ70%です。9月30日までに納品を受けていれば、80%の24,000円です。
経過措置を使うには、必要な事項が書かれた請求書と、経過措置の対象である旨を書いた帳簿を保存しておく必要があります。
自社が免税事業者、または簡易課税・2割特例で申告しているなら、納める消費税の額には影響しません
消費税を納めていない事業者は、仕入れの消費税を差し引く計算をしないので、税込の総額を費用(資産になるものは取得価額)にします。
簡易課税や2割特例は、売上の消費税から決まった割合で計算する方法なので、発注先がインボイス登録をしているかどうかで納める額は変わりません。ただし帳簿のつけ方は別に確認が必要です。また、2割特例には使える期間の期限があります。
発注先がインボイス登録をしているかどうかは、請求書の「T」から始まる登録番号を、国税庁の公表サイトで検索すると確かめられます。
ドメイン・保守料など周辺費用の科目
制作費以外にかかる費用の科目もまとめておきます。いずれも金額が小さいので、あまり悩まなくて大丈夫です。
| 費用 | 一般的な勘定科目 | 補足 |
|---|---|---|
| ドメイン取得・更新料 | 通信費 | 支払手数料でも可 |
| サーバー利用料 | 通信費 | 年払いは原則、利用期間に応じて費用にします。短期前払費用の条件を満たして毎年同じ処理を続けるなら、払った期に全額費用にできます |
| SSL証明書 | 通信費 | 無料の証明書なら費用は発生しない |
| 保守・管理料(月額) | 広告宣伝費/支払手数料 | 継続して同じ科目を使う |
| SEO対策費 | 広告宣伝費 | — |
| 写真撮影・ライティング | 広告宣伝費 | 制作費に含めることも多い |
| WordPressの有料テーマ | 消耗品費/支払手数料 | 10万円未満がほとんど |
「保守料の勘定科目は何が正解ですか」という質問をよくいただきますが、正解が1つに決まっているわけではありません。
費用の科目の中では、一度決めた科目を毎期続けて使うことが大切です。去年は通信費、今年は広告宣伝費、という揺れ方は避けてください。
リニューアル費用の扱い
リニューアルも、基本の判定は新規制作と同じです。そのうえで、もう一つ見るポイントがあります。
デザインや原稿を作り直すだけであれば、広告宣伝費として処理できます。
一方、予約システムやEC機能を新しく追加する、あるいは既存システムの性能を大きく高めるような改修は、資本的支出として資産計上の対象になります。単なる不具合の修正や現状維持のための手直しであれば、費用処理で構いません。
リニューアル全体の進め方はこちらの記事にまとめています。
制作会社から見た「見積書の内訳」の話
ここからは、税理士の解説記事にはあまり出てこない話です。制作する側だからこそ見えている部分だと思います。
見積書の内訳の書き方で、初年度に経費にできる金額が変わります。
たとえば、こういう見積書。
ホームページ制作一式 600,000円
この1行だけだと、中身の切り分けができません。
予約システムが入っていることが分かっている場合、税務調査の場面で「どこまでがソフトウェアか」を説明できず、全額をソフトウェアとして資産計上せざるを得なくなることがあります。
一方、こう分かれていればどうでしょうか。
サイト設計・デザイン・コーディング 400,000円
予約システム構築 200,000円
40万円の部分が予約システムとは切り離せる広告宣伝の部分であれば、40万円は広告宣伝費として初年度に経費、20万円はソフトウェアとして資産計上(しかも20万円なら特例で全額経費も選べます)。
同じ60万円でも、初年度の損益はまったく違うものになります。
ただし、内訳を分けるだけで税務上の扱いが変わるわけではありません。実際の作業内容に沿った、筋の通った金額の分け方であることが前提です。見積書の内訳は、その中身を説明する資料になります。
発注のときは「経理のために、作業内容ごとに内訳を分けて出してもらえますか」と一言伝えてください。当社は最初から分けてお出ししています。
見積書の見方や費用の相場そのものについては、ホームページ制作費用の相場記事で詳しく書いています。
よくある質問
個人事業主でも法人と同じ考え方でいいですか?
判定の考え方は同じです。ただし40万円未満を全額経費にできる少額減価償却資産の特例は青色申告が条件なので、白色申告の場合は10万円未満・20万円未満の基準までとなります。
補助金でホームページを作った場合はどうなりますか?
制作費は通常どおり計上し、補助金は雑収入として収益に計上します。計上するのは入金日ではなく、交付の条件に応じて受け取る権利と金額が確定した期です。制作費を計上した年度と補助金の年度がずれると、思わぬ税負担が出ることがあります。圧縮記帳は、補助金で固定資産を取得した場合などに使える制度で、広告宣伝費として処理した制作費には通常使えません。税理士に相談してください。
自分で作った場合、経費にできるものはありますか?
ドメイン代、サーバー代、有料テーマやプラグインの購入費、写真素材の購入費は、事業のための支出であれば経費の対象です(ソフトウェアとして資産に含めて償却する場合もあります)。ただし自分が作業した時間は経費になりません。個人事業主が自分に人件費を払うことはできないためです。
どの科目にするか迷ったときは、どう決めればいいですか?
まず、費用にするのか資産にするのかを、取引の中身で判断します。そのうえで、同じ性質の費用には毎期同じ科目を使い続けてください。ただし、資産にすべきものを費用で処理していたと気づいたら、続けずに直します。判断がつかない金額であれば、税理士か所轄の税務署に確認するのが確実です。
ホームページの耐用年数は5年で合っていますか?
ソフトウェアとして資産計上する場合は5年です(繰延資産などにあたるものは別に判断します)。ただし広告宣伝費として処理する場合、そもそも耐用年数という考え方は登場しません。「ホームページは5年償却」と一律に説明されることがありますが、それは資産計上するケースに限った話です。
まとめ
整理すると、こうなります。
会社や店舗の紹介が目的で、ときどき更新するサイトなら広告宣伝費で全額経費。
EC・予約・会員機能などが入るなら、その部分はソフトウェアとして5年償却。ただし2026年4月以降なら、特例の対象になる中小企業者等は40万円未満を全額経費にできます。
インボイス登録のない制作会社に払う場合は、2026年10月から消費税の控除の割合が70%に変わります。
そして忘れがちなのが、見積書の内訳です。作業内容に沿って分かれていれば、どこまでが広告宣伝費でどこからがソフトウェアかを説明しやすくなります。発注前に一言伝えるだけの話なので、ぜひ覚えておいてください。
この記事についての注意
本記事は2026年9月時点の情報をもとに、一般的な取扱いをまとめたものです。実際の処理は事業の内容・契約の形態・会社の状況によって変わります。金額が大きい場合や判断に迷う場合は、必ず顧問税理士か所轄の税務署にご確認ください。
参考にした資料:国税庁タックスアンサー No.5461(ソフトウエアの取得価額と耐用年数)/ No.5403(少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示)/ No.5408(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)/ No.5380(短期前払費用)/ 国税庁「令和8年度税制改正の概要」/ 国税庁「適格請求書等保存方式に関するQ&A」(免税事業者等からの仕入れに係る経過措置)
当社では、制作費の内訳を分けた見積書を標準でお出ししています。
初期費用0円の月額プランと、買い切りのプランの両方をご用意しているので、「今期は経費を増やしたい」「初期投資を抑えたい」といったご事情にあわせて選んでいただけます。料金プランはこちらからご覧ください。