決算公告は自社ホームページなら毎年0円|官報7万円との差と登記費用の実額

決算公告を自社ホームページで行う方法を解説する記事のアイキャッチ

株式会社を経営していて、毎年きちんと決算公告を出している。
そういう会社は、実のところ多くありません。義務だと知らなかった、あるいは知っていても官報の費用を見て後回しにした、というのがよくある話です。

こんにちは、三重県でホームページ制作をしているMYコンサルティングです。
この記事でお伝えしたいのは一つだけ。決算公告は、自社のホームページに載せれば毎年の費用が0円になります。官報のように毎年6万円を払い続ける必要はありません。

当社自身も株式会社なので、第1期の決算からこの方法を採る予定です。制作会社として、そして同じ義務を負う当事者として書きました。

先に結論

株式会社は規模を問わず全社が義務対象。合同会社と特例有限会社は対象外
・怠ると100万円以下の過料。しかも会社ではなく取締役個人に科される
・官報は毎年7万円前後。自社サイトは掲載料0円で、2年目以降のランニングも0円
・ただし初回だけ、URLを登記する登録免許税3万円がかかる(設立時に済ませれば不要)
・決算公告だけなら定款変更も電子公告調査も不要

決算公告とは何か

決算公告とは、会社の決算内容を世の中に公開する手続きです。
会社法440条1項で、定時株主総会が終わったあと遅滞なく貸借対照表を公告することが義務づけられています。

なぜ義務なのか。
株式会社は出資者から資金を集め、取引先とも信用で取引します。その会社の財務状態を、株主や取引先が確認できる状態にしておく必要がある、というのが制度の趣旨です。上場企業だけの話だと思われがちですが、法律はそう書いていません。

義務がある会社・ない会社

ここは誤解が多いところなので、はっきり分けておきます。

会社の形態決算公告の義務
株式会社(非上場・小規模も含む)あり
合同会社(LLC)なし
特例有限会社(会社法施行前からの有限会社)なし
合名会社・合資会社なし

つまり株式会社であれば、社長1人の会社でも義務があります。売上や従業員数による免除はありません。

逆に合同会社を選んでいる場合、決算公告の義務はありません。設立時に合同会社を選ぶ理由の一つが、実はここにあります。特例有限会社も、会社法の施行にともなう整備法で適用除外とされています。

やらないとどうなるか

会社法976条2号により、100万円以下の過料に処されることがあります。

⚠ 過料は「会社」ではなく「取締役個人」に科されます

ここが見落とされやすい点です。罰金のように会社の経費で処理される性質のものではなく、代表取締役などの個人が支払うことになります。

ただ、正直なところを書きます。
現実には、決算公告を出していない中小企業は珍しくありません。すぐに過料が科されるという運用にはなっていないのが実情です。

それでも、当社はやっておくことをおすすめします。理由は罰則を恐れるからではありません。
費用が0円で済むなら、義務を果たしていない状態をわざわざ抱えておく意味がないからです。金融機関や大手取引先との取引で会社の姿勢を見られる場面もありますし、公告を出していること自体が、きちんと運営している会社であることの一つの証明になります。

3つの方法と費用の比較

公告の方法は3つあります。費用の差が非常に大きいので、まず全体像を見てください。

決算公告の3つの方法と費用の比較。官報は2枠で約7万3千円、日刊新聞紙は50万円以上、自社ホームページは毎年0円

官報の掲載料は、紙面の枠数で決まります。
大会社以外の非公開会社が貸借対照表を掲載する場合、2枠で約73,000円(税込)が一般的です。中小機構の資料では「最低6万円程度」とされていますが、実際の料金表に当てはめると7万円前後を毎年と見ておくのが安全です。情報量が多く3枠になれば11万円近くになります。

なお官報の掲載料金は2026年4月1日掲載分から改定されています。数年前の記事に載っている金額はすでに古い可能性があるので注意してください。

日刊新聞紙となると、全国紙では最低50万円以上。中小企業が選ぶ選択肢ではありません。

これに対して、自社のホームページに掲載する方法なら掲載料は0円です。すでにサイトを持っているなら、ページを1枚追加するだけで済みます。

「0円」の正確なところ ― 初回だけ登記費用がかかります

ここは正直に書いておきます。完全な無料ではありません。

後述するとおり、掲載するページのURLは登記事項です。この登記に登録免許税が3万円かかります。司法書士に依頼する場合は、その報酬も別途必要になります。

ただし、これは最初の1回だけです。URLを変えない限り、翌年以降に登記をやり直す必要はありません。掲載する数字を毎年入れ替えるだけなので、2年目以降の費用は0円です。

官報(2枠の場合)自社ホームページ
初回約73,000円30,000円(登記の登録免許税)
2年目約73,000円0円
3年目以降毎年約73,000円0円
5年間の合計約365,000円30,000円

初年度の時点ですでに自社ホームページのほうが安く、5年では30万円以上の差になります。
さらに、これから会社を設立する場合は、設立登記の中で公告方法を定めてしまえばこの3万円も発生しません。設立時にホームページの計画があるなら、司法書士に「公告はホームページでやりたい」と伝えておいてください。

「電子公告」と「決算公告だけHPに載せる」は別の制度です

ここが実務でいちばん混乱する部分なので、先に整理しておきます。

①公告方法そのものを電子公告に変更する
合併や資本金の額の減少といった、決算以外の公告もすべてホームページで行う方法です。この場合は定款の変更が必要で、決算以外の公告については電子公告調査機関の調査(有料)も受けなければなりません。

②決算公告だけをホームページに掲載する
公告方法は官報のままにしておき、貸借対照表だけを自社サイトに載せる方法です。定款の変更は不要。そして決算公告に電子公告調査は要りません
中小企業がまず選ぶべきなのは、ほとんどの場合こちらです。

②で調査が不要である点は、法務省も明示しています。「いわゆる決算公告については、他の公告事項について電子公告を行う場合と異なり、電子公告調査機関の電子公告調査を受けることを要しません」という記載です。
調査費用がかからないからこそ、実質0円が成立します。

自社ホームページでやる場合の4つのルール

0円とはいえ、守るべきルールがあります。ここを外すと公告したことになりません。

ホームページで決算公告を行う場合の4つのルールと手順

ルール1. 貸借対照表は「全文」を載せる

官報や日刊新聞紙であれば要旨(要約)の掲載で足りますが、ホームページに載せる場合は全文が必要です。

紙面の広さで費用が決まる官報とは考え方が逆で、ウェブなら分量に制限がないぶん、省略せずに載せなさい、ということです。掲載料が0円である代わりの条件だと考えてください。

ルール2. URLを登記する

掲載するページのURLを法務局に登記する必要があります。会社法911条3項26号で登記事項とされているためです。
このとき登録免許税が3万円かかります。前述のとおり、実質的な費用はここだけです。

そして登記事項である以上、あとからURLを変えると変更登記が必要になり、そのたびに3万円かかります。だからこそ、次の「作り方」で書くURLの決め方が効いてきます。

ルール3. 5年間、掲載し続ける

計算書類の承認後、5年を経過する日まで掲載を続けなければなりません。

途中でページを消したり、サイトリニューアルのときにうっかり削除したりすると要件を満たさなくなります。5年分が積み上がっていく前提でページを設計しておく必要があります。

ルール4. 誰でも見られる状態にしておく

会員登録やパスワードが必要な場所に置いてはいけません。
不特定多数の人がいつでも閲覧できる状態であることが条件です。検索エンジンにインデックスさせない設定(noindex)にすること自体は違反ではありませんが、当社としては普通に公開しておくことをおすすめします。

これだけ安いのに、なぜ普及していないのか

ここまで読んで、当然の疑問が浮かぶはずです。
そんなに安いなら、もっと多くの会社がやっているのではないか。実際にはそうなっていません。理由は3つあります。

理由1. そもそも決算公告自体をしていない会社が大半

いちばん大きいのはこれです。官報かホームページかという比較の前に、そもそも公告していない会社が多数を占めます。

数字があります。東京商工リサーチの調査によると、2022年に官報へ決算公告を掲載した株式会社は4万214社。公告方法を官報と登記している株式会社が217万9,325社ありますから、実施率はわずか1.8%ということになります。

公告方法の登記の内訳

・官報 約83%
・日刊新聞紙 約14.5%
・電子公告 約2.4%

登記上は8割以上が官報を選んでいるのに、実際に官報に出しているのは2%弱。登記した方法すら実行されていないのが実情です。

罰則はありますが、実態として過料が科されたという話はほとんど聞きません。結果として「昔からやっていないし、周りもやっていない」という状態が続いています。
つまり、ホームページ公告が不利だから広まっていないのではなく、土俵にすら上がっていないというのが実情です。

裏を返せば、きちんと公告している時点で上位2%に入るということでもあります。金融機関や大手取引先に対して、法令を守って運営している会社であることを示す材料になります。

理由2. 貸借対照表の全文が誰でも見られる状態になる

これは正直に書いておくべきデメリットです。

ホームページに載せる場合は要旨ではなく全文が必要なので、資産・負債・純資産の内訳が公開されます。会社名で検索した取引先や求職者、同業他社の目に触れる可能性があります。

ただし、公開されるのは貸借対照表だけです

損益計算書まで公告する必要があるのは大会社(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上)だけです。中小企業の場合、売上や利益そのものは公開されません
また、官報を選んだとしても貸借対照表の要旨は公開されますし、官報は検索して閲覧できます。「官報なら誰にも見られない」というのは思い込みです。違いは、全文か要旨か、そして見つけやすいかどうかです。

財務内容を知られたくないという理由で公告そのものを避けている会社は確かにあります。ただ、それは義務を果たさない理由にはなりません。判断材料として知っておいてください。

理由3. 5年間の縛りと、登記の手間

一度始めたら5年間は掲載を続ける必要があり、その間URLを変えられません(変えるたびに登記費用3万円)。サイトを閉鎖したり、制作会社を変えてURL構成を作り直したりする自由度は下がります。

とはいえ、これは次に説明するURLの決め方さえ最初に間違えなければ、ほぼ問題になりません

公告ページの作り方

ここからは制作会社の立場で、実際にどう作るかを書きます。手続きの解説はよく見かけますが、ページそのものの作り方まで書いたものはあまり無いはずです。

URLは「増える前提」で決める

これがいちばん大事なポイントです。
URLは登記事項なので、変更すると手間と費用が発生します。ところが公告は毎年増えていき、5年分が並ぶことになります。

やってはいけないのは、こういうURLです。

https://example.co.jp/koukoku-2027.html ←年度をURLに入れてしまう

これだと翌年には別のページが必要になり、登記したURLとの整合が崩れます。
おすすめは、年度に依存しない「一覧ページ」を1枚だけ作り、そのURLを登記する方法です。

https://example.co.jp/koukoku/ ←このURLを登記し、中に各期を並べていく

この1ページに第1期、第2期……と貸借対照表を追加していけば、登記したURLは一度も変わりません。5年を過ぎた古い期は、下から順に落としていけば管理も楽です。

PDFではなくHTMLで作る

PDFを貼るだけでも要件は満たせますが、当社はHTMLの表で作ることをすすめています。

理由はスマホです。PDFはスマートフォンで開くと拡大縮小が必要になり、非常に読みづらくなります。取引先や金融機関の担当者がその場で確認する場面を考えると、普通のウェブページとして読める形のほうが親切です。
表であればHTMLで十分に組めますし、更新も1年に1回、数字を足すだけです。

載せる内容

ページに必要なのは、会社名、第◯期という表示、決算期間、そして貸借対照表の全文です。
定時株主総会で承認された日付も添えておくと、いつの決算かが明確になります。デザインを凝る必要はまったくありません。読み間違いが起きない表であることのほうが大切です。

作った後にやること

ページを公開したら、そのURLを持って法務局で登記の手続きをします。
登記そのものは司法書士に依頼するのが確実です。当社のお客様の場合、ページは当社が作り、登記は司法書士にお願いする、という分担になることが多いと思います。

サイトのリニューアル時は要注意

制作会社を変えたりサイトを作り直したりするとき、この公告ページが消えてしまう事故が起きえます。
リニューアルを依頼するときは「決算公告のページがあるので、このURLは絶対に変えないでください」と最初に伝えてください。リニューアルの進め方はこちらにまとめています。

よくある質問

ホームページでの決算公告は本当に0円ですか?

掲載料と2年目以降の費用は0円ですが、完全な無料ではありません。初回にURLを登記するための登録免許税3万円がかかります。ただし官報は毎年7万円前後かかり続けるため、初年度の時点ですでに自社ホームページのほうが安く、5年間では30万円以上の差になります。会社の設立時に公告方法を定めて設立登記に含めてしまえば、この3万円も発生しません。

ホームページを持っていない場合はどうすればいいですか?

公告のためだけにサイトを作るのは本末転倒なので、まずは官報での掲載を検討することになります。ただ、会社案内のサイトをこれから作る予定があるなら、そのときに公告ページも一緒に作ってしまうのが合理的です。毎年7万円前後が0円になるので、数年で制作費の一部を回収できる計算になります。

損益計算書も載せる必要がありますか?

大会社(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上)に該当する場合は、貸借対照表に加えて損益計算書も必要です。中小企業の多くは該当しないため、貸借対照表のみで足ります。自社がどちらか判断がつかない場合は、顧問税理士か司法書士に確認してください。

いつまでに公告すればいいですか?

定時株主総会の終結後、遅滞なく行う必要があります。3月決算の会社であれば、6月の株主総会が終わったあとということになります。決算作業の流れの中に「公告ページの更新」を組み込んでおくと忘れません。

過去に何年も公告していませんでした。どうすればいいですか?

気づいた時点から始めるのが現実的な対応です。直近の決算分から掲載を始め、以降は毎年続けていく形になります。過去分をさかのぼって全て載せる義務があるかどうかは個別の状況によるため、司法書士に相談してください。

会社のホームページの一部に載せて大丈夫ですか?

問題ありません。自社サイト内の1ページとして作れば足ります。トップページから辿れる場所にリンクを置いておくと、閲覧できる状態であることがより明確になります。フッターの会社情報の並びに入れておくのが一般的です。

まとめ

整理します。
株式会社であれば、規模にかかわらず決算公告の義務があります。怠れば取締役個人に100万円以下の過料が科される可能性があります。

それでも、官報に毎年7万円前後を払い続ける必要はありません。自社のホームページに貸借対照表の全文を5年間掲載し、そのURLを登記すれば、2年目以降は毎年0円で義務を果たせます。かかるのは初回の登記費用3万円だけで、5年間の合計では官報が約36万円、自社サイトは3万円です。決算公告だけなら定款の変更も、電子公告調査も要りません。

作るうえでの勘所は、URLを年度に依存させないこと。ここさえ最初に設計しておけば、あとは毎年数字を足していくだけの作業になります。

この記事についての注意

本記事は2026年8月時点の情報をもとに、一般的な取扱いをまとめたものです。定款の内容や会社の状況によって必要な手続きは変わります。登記に関する具体的な手続きは司法書士に、決算書類の内容は顧問税理士にご確認ください。

参考にした資料:法務省「電子公告制度について」/中小機構 J-Net21「ホームページで決算公告を行いたいのですが、注意点があったら教えてください。」/会社法440条・976条/東京商工リサーチ「官報で決算公告、株式会社のわずか1.8%」

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