お客様に返金することになったとき、どう伝えるか迷います。
謝ったほうがいいのか、事務的でいいのか。どこまで書けば失礼にならないのか。
実は、返金の連絡にはまったく性質の違う2種類があります。ここを混ぜると、伝わらない文面になります。
返金には2種類ある
①こちらのミスによる返金(誤請求・二重請求・不良品)
→ お詫びが主。原因と再発防止まで書く
②お客様都合による返金(返品・キャンセル・解約)
→ 事務連絡が主。謝る必要はない
あなたのケースはどれ?(該当の文例へ跳べます)
②で深々と謝ると、かえって「何か問題があったのか」と不安にさせます。逆に①を事務的に済ませると、誠意がないと受け取られます。
この記事では、2種類を書き分けた文例8本を用意しました。そのままコピーして使えます。
返金の連絡でいちばん大事なこと
文例に入る前に、ひとつだけ。
返金の連絡で相手が知りたいのは、謝罪の言葉ではありません。
「いくら」「いつ」「どうやって」「自分は何をすればいいのか」の4つです。
ここが書かれていないと、丁寧な文面でも相手を不安にさせます。
先に書くべき4項目
- 金額(税込でいくら戻るのか)
- 時期(いつ入金されるのか。「○営業日以内」でも可)
- 方法(銀行振込・クレジット取消・現金書留など)
- 相手の作業(口座を知らせる必要があるのか、待つだけでいいのか)
特に4つめが抜けやすいです。
「返金します」とだけ書かれると、受け取った側は「口座を伝えるべき?」「返信が必要?」と迷って、結局こちらに問い合わせることになります。
もうひとつ、振込手数料をどちらが負担するのかも先に書いてください。金額が数百円ずれるだけで、相手は「計算が合わない」と不信を持ちます。
【お詫び型】こちらのミスによる返金 文例4本
文例中の ○○ はお客様名・担当者名など、△△ は自社名(屋号)、○,○○○円 は金額に置き換えてください。日付・電話番号も同様です。
誤請求・二重請求・不良品など、自社に非がある場合です。
お詫び → 原因 → 返金内容 → 再発防止、の順で書きます。
文例1|二重請求のお詫びと返金(メール)
件名:【お詫び】ご請求金額の重複と返金のご案内(○○様)
○○様
いつも△△をご利用いただきありがとうございます。
このたび、当方の請求処理の誤りにより、○月分のご利用料金を二重にご請求してしまいました。
ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
【返金の内容】
返金額:○,○○○円(税込)
返金日:○月○日(○)までにお振り込み
返金方法:ご登録の口座へお振り込み
振込手数料:当方負担
お客様にお手続きいただくことはございません。そのままお待ちください。
原因は請求データの二重登録によるものです。確認手順を見直し、再発を防止いたします。
ご不明な点がございましたら、本メールへご返信ください。
△△
担当:○○
電話:○○○-○○○-○○○○
文例2|不良品・不具合による返金(メール)
件名:【お詫び】ご購入品の不具合と返金のご案内
○○様
このたびはお届けした商品に不具合があり、ご不便をおかけして誠に申し訳ございません。
ご返送いただいた商品を確認いたしました。当方の検品不足によるものでした。
【返金の内容】
返金額:○,○○○円(商品代金・税込)
返金日:○月○日(○)
返金方法:クレジットカードのご利用取消
※カード会社の締め日により、明細への反映が翌月になる場合がございます
なお、ご返送時にお立て替えいただいた送料 ○○○円は、カード決済の取消が元のご請求額の範囲内でしか行えないため、別途お振り込みいたします。
お手数ですが、お振込先を本メールへご返信ください。
なお、ご不安な場合は弊社代表番号(○○○-○○○-○○○○)へお掛け直しのうえご確認ください。
今後は検品体制を強化してまいります。
このたびは誠に申し訳ございませんでした。
△△
クレジットカードの取消は「いつ明細に出るか」が読めません。反映が遅れる可能性を先に書いておくと、問い合わせが減ります。
文例3|サービスの提供不備による返金(メール・BtoB)
件名:【お詫び】○○における不備と返金のご案内
株式会社○○
○○部 ○○様
平素より大変お世話になっております。△△の○○でございます。
○月○日にご提供いたしました○○につきまして、当社の作業不備により仕様と異なる状態でお引き渡しをしておりました。
ご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
つきましては、当該分の料金を全額ご返金いたします。
【返金の内容】
返金額:○○,○○○円(税込)
返金日:○月○日(○)
返金方法:貴社ご指定口座へお振り込み
振込手数料:当社負担
お振込先は、これまでのお取引口座(○○銀行 ○○支店)でよろしいでしょうか。
変更がございましたら、○月○日までにご連絡いただけますと幸いです。
再発防止として、納品前の二重チェックを実施いたします。
改めまして、このたびは誠に申し訳ございませんでした。
△△株式会社 ○○
文例4|お詫びの案内状(郵送・正式)
○○年○月○日
お客様各位
△△株式会社
代表取締役 ○○ ○○
ご請求金額の誤りとご返金のお知らせ
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび当社の事務処理の誤りにより、○月分のご請求金額に相違がございました。お客様には多大なるご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
過剰にご請求いたしました金額につきましては、下記のとおりご返金申し上げます。
敬具
記
一、返金額 金○,○○○円(税込)
一、返金予定日 ○○年○月○日
一、返金方法 ご登録口座へのお振込(振込手数料は当社負担)
※お客様にお手続きいただく必要はございません。
以上
【事務連絡型】お客様都合による返金 文例4本
返品・キャンセル・解約など、こちらに非がない場合です。
謝る必要はありません。「ご連絡ありがとうございます」から入り、手続きを淡々と伝えます。
文例5|返品にともなう返金(EC・メール)
件名:ご返品商品の確認と返金のご案内
○○様
このたびはご返品のご連絡をいただき、ありがとうございました。
○月○日に商品を受け取り、状態を確認いたしました。返金のお手続きに進みます。
【返金の内容】
返金額:○,○○○円(税込)
内訳:商品代金 ○,○○○円
※ご返送にかかった送料はお客様のご負担となります(返金額には含まれません)
返金日:○月○日(○)までに返金処理
返金方法:ご購入時のクレジットカードへの返金処理
お客様にお手続きいただくことはございません。
またのご利用をお待ちしております。
△△
返送料をお客様負担にする場合は、内訳を分けて書くのが大切です。総額だけ書くと「金額が違う」と問い合わせが来ます。
文例6|キャンセルにともなう返金(教室・サロン・予約制)
件名:○月○日のご予約キャンセルと返金について
○○様
ご連絡ありがとうございます。
○月○日(○)○時のご予約をキャンセルとして承りました。
お預かりしておりました料金をご返金いたします。
【返金の内容】
返金額:○,○○○円(税込)
(キャンセル規定により、○日前のご連絡のため全額返金となります)
返金日:○月○日(○)
返金方法:銀行振込
振込手数料:当方負担
お手数ですが、お振込先の口座情報を本メールへご返信ください。
・金融機関名/支店名
・口座種別/口座番号
・口座名義(カタカナ)
ご確認後、上記の日程でお振込いたします。 なお、ご不安な場合は当店(○○○-○○○-○○○○)へお電話のうえご確認ください。
またのご来店をお待ちしております。
△△
※「キャンセル規定により」の一行は、規定を定めている場合のみ使ってください。規定がない場合は「今回は全額をご返金いたします」とだけ書きます。
文例7|解約にともなう日割り返金(月額サービス)
件名:ご解約手続き完了と返金のご案内
○○様
このたびはご利用いただき、ありがとうございました。
○月○日付でのご解約手続きが完了いたしました。
お支払い済みの料金のうち、未利用期間分をご返金いたします。
【返金の内容】
返金額:○,○○○円(税込)
算出方法:月額○,○○○円 ÷ ○○日 × 残り○○日
返金日:○月○日(○)
返金方法:ご登録口座へお振り込み
振込手数料:当方負担
お客様にお手続きいただくことはございません。
ご利用いただきありがとうございました。
△△
日割り返金は計算式を書いておくと、確認の連絡が減ります。金額だけだと「合っているのか」を確かめようがありません。
エステ・学習塾・語学教室など特定継続的役務提供にあたる契約(金額5万円超。期間はエステ・美容医療が1か月超、学習塾・語学教室・家庭教師・パソコン教室・結婚相手紹介サービスが2か月超)の中途解約には、特定商取引法で清算金額の上限が定められています。該当しそうな場合は、自社の規定を法律に照らして確認してください。
文例8|ホームページのお知らせ欄用(不特定多数へ)
【○月○日】ご返金対応に関するお知らせ
○月○日から○月○日までの間に○○をご利用いただいたお客様へ、料金の一部をご返金いたします。
対象:○月○日〜○月○日に○○をご利用のお客様
返金額:お一人様 ○○○円(税込)
返金時期:○月中旬までに順次
返金方法:ご登録の決済方法へ返金処理
対象のお客様には、順次メールでご連絡いたします。
お客様からお手続きいただく必要はございません。
ご不明な点は、下記までお問い合わせください。
△△ 電話:○○○-○○○-○○○○(平日○時〜○時)
口座を聞くときは、詐欺と疑われます
文例6のように相手の口座情報を聞く場合は注意が必要です。
「返金します。口座を教えてください」というメールは、詐欺の手口とまったく同じ形をしています。実際、返金や過払い金の返還を装って口座情報を聞き出すフィッシング詐欺は、この入り口を使います。
警戒されないために、次の3つを守ってください。
疑われないための3つ
- 連絡先を変えない——いつもと同じメールアドレス・電話番号から連絡する。新しいアドレスを使うと一気に怪しくなります
- リンクを踏ませない——「こちらのフォームから口座を入力」は詐欺と同じ形。返信で受け取るほうが安全です
- 金額を先に確定させる——「いくら返るか」を先に示せば、相手は照合できます
可能であれば、先に電話で一報を入れてから文面を送るのがもっとも確実です。声を聞いていれば、後からのメールが疑われにくくなります。
関連して、振込先そのものを変更する場合は口座変更のお知らせ文例もあわせてご覧ください。同じく詐欺と疑われやすい連絡です。
なお、相手がその場で「本物かどうか」を確かめられる会社のホームページがあると、この問題はかなり軽くなります。当社のホームページ制作では、こうした信用の裏取りに使えるページづくりもご相談いただけます。
やりがちな失敗3つ
失敗1|謝罪だけで、金額と時期がない
よくある失敗です。
「このたびは誠に申し訳ございません」が5行続いた後、肝心の返金額と入金日が書いていない。読み手は不安なまま待つことになります。
お詫びは冒頭に1〜2文で十分です。そのあとすぐ、金額と日付を書いてください。
失敗2|「後日ご連絡します」で終わる
調査中で金額が確定していないときにやりがちです。
ただ「後日」では相手は待てません。「○月○日までにご連絡します」と期限を切るだけで、印象がまったく変わります。
失敗3|手数料の負担を書かない
返金額から振込手数料が引かれていると、相手は「金額が違う」と感じます。
当方負担なのか、差し引くのか。一行書いておくだけで、後の確認連絡を防げます。
ホームページに書いておくと、連絡が楽になる
返品・キャンセル・返金の条件をホームページに書いておくと、返金の連絡そのものが短く済みます。
「キャンセル規定により全額返金となります」と一行書いて、詳しくはサイトのページへ誘導すればいいからです。毎回、規定を全文書く必要がなくなります。
ネットで商品を販売している場合、返品・返金の条件をは、広告に表示すべき事項として法律で定められています(特定商取引法11条)。書いていないと、お客様が商品を受け取った日から8日以内は返品を断れなくなります(同法15条の3)。
この8日ルールは商品(および政令で定める特定権利)の売買が対象で、サービスの提供には適用されません。ただし条件を表示する義務自体はどちらにもあります。また通信販売では、専用ページだけでなく注文の最終確認画面にも返品条件の表示が必要です(同法12条の6)。
何を書けばいいかはホームページに必要な法律のページで解説しています。
自分のサイトに何が必要かを判定して文面まで作れるポリシー文書の作成ツールも無料で公開していますので、あわせてお使いください。
よくある質問
返金の連絡は、メールだけで済ませてよいですか?
お客様都合の返品・キャンセルであれば、メールだけで問題ありません。ただしこちらのミスによる返金の場合は、先に電話で一報を入れることをおすすめします。メールだけだと事務的に受け取られやすく、また口座情報をやり取りする場合に詐欺と疑われる可能性があるためです。
お客様都合の返品でも、謝ったほうがいいですか?
謝る必要はありません。「ご連絡ありがとうございます」で始めてください。こちらに非がないのに謝ると、かえって「何か問題があったのか」と不安にさせます。ただし「ご期待に沿えず残念です」といった一言を添えると、印象が和らぎます。
振込手数料はどちらが負担するのが普通ですか?
振込にかかる費用は、原則として返金する側(事業者)の負担です(民法485条)。お客様都合の返品・キャンセルで手数料を差し引きたい場合は、あらかじめ返品規定に書いておく必要があります。書いていなければ当方負担になります。いずれの場合も、文面に「振込手数料は当方負担」「返送料はお客様負担」と明記してください。書かないと、金額の食い違いで問い合わせが発生します。
返金までにどれくらいの期間が許容されますか?
通信販売の返品による返金であれば、法律上の明確な決まりはありません。目安としては1〜2週間以内に入金できると、相手を不安にさせずに済みます。なおクーリング・オフによる返金は、速やかに返還する必要があります。それ以上かかる場合は、理由と完了予定日を先に伝えておきます。クレジットカードの返金処理は、カード会社の締め日の関係で明細への反映が翌月以降になることがあるため、その旨も添えておくと安心されます。
金額がまだ確定していない段階で連絡すべきですか?
連絡すべきです。金額が出るまで黙っていると、相手は放置されたと感じます。「現在確認中で、○月○日までに金額と日程をご連絡します」と、期限を切って一報を入れてください。
返金のお知らせをホームページに載せる必要はありますか?
対象が特定のお客様だけなら不要です。個別に連絡してください。対象が広範囲におよぶ場合(システム不具合で多数に過剰請求したなど)は、文例8のようにお知らせ欄へ掲載し、あわせて個別連絡も行います。
まとめ
返金の連絡でいちばん大事なのは、丁寧な言葉づかいではありません。
「いくら」「いつ」「どうやって」「相手は何をすればいいか」——この4つが書かれているかどうかです。
そして、こちらのミスか、お客様都合かで書き方を変えてください。
前者はお詫びを冒頭に。後者は謝らず、事務的に。
この2つさえ押さえれば、あとは文例をコピーして日付と金額を差し替えるだけです。
お知らせ文の作成はお知らせ文例ジェネレーターでも作れます。用件と載せる場所を選ぶだけで文面ができるので、あわせてご利用ください。
関連する記事として、口座変更のお知らせ文例、休業のお知らせ文例もご覧いただけます。